○
チーム結成のいきさつ
工学部に進学しながら、「モノ作り」の困難さを痛感し始めていた3年の夏。以前何かの本で見ていたIVRCのことが、ふと気になった。友人たちを誘って舘研究室に押しかけ、過去のIVRCの様子を紹介するビデオを見せていただいた。受賞作品はいずれも、ただ凄いとしか言いようがない。「モノづくりも研究も、理屈だけじゃうまくいかないんだよ」との言葉にうなずきながら、自信の無さと、何か完成されたものを創り上げたいという気持ちの間で揺れ動く。「言い出しっぺ責任」、友人たちのその一言で、僕は決意した。
○
テーマはどのように決めたか
企画書提出まで、残り時間はほとんど無かった。IVRC99のテーマは「祭り」。まずは夜店の屋台を全部列挙して、「体験して面白いもの」の順にとりあえず並べた。しかし、どれもいまいちのように思えて仕方が無い。多人数での会議はまとまらず、誰かが思いつくだろうという雰囲気にどうしても支配されてしまう。僕は同じ学科の狩野と松崎を誘い、3人で原案を固めてしまうことにした。ありがちな深夜のファミレス。「じゃあ、…金魚すくいでとりあえず考えてみよう」。ところが、実現可能性と面白さを検討していくうちに話は大いに盛り上がった。岸本は企画書原案を作り、狩野は実現に向けての構成・設計を詳細に検討し、松崎は無能な岸本を怒る狩野をなだめる、という見事な作業分担のもと、表現レベルはもちろん、アイデアレベルからの数回の書き直しを重ねて企画書を提出した。「金魚すくい」のテーマがぶれなくて済んだのが良かった。結果的に、完成した作品は、企画書をそのまま形にしたものとなった。
|