The Mind Wave (2003)
Mother / 大阪工業大学
[作品概要]
本作品は,人間の生体信号を利用した「癒し」をテーマにしている.このシステムは体験者の呼吸の波を海の波に置き換え,その波を体験者が感じることにより癒しを与えるものである.海の上で自分の心のままに波に揺られながら過ごし,癒しを得るという,新たな癒しの空間を提供している.
体験者がシステム(図3)の椅子に座ると目の前にある大型スクリーンに美しい波の映像(図4)が映し出され,椅子が波に揺られているように上下に動くようになっている.椅子の動きは体験者の吸気を検知するとモーターが一回転し,椅子が上下にゆっくりと動く.上下の角度とスピードは一定で,吸気を一回検知するごとに一回上下する.椅子が動いている間に呼吸をしても反応はなく,椅子が既定の位置に戻ると再び吸気の待ち状態に入り,吸気を検知するとまた同じ動きを繰り返す.体験者に呼吸ピックアップセンサが付けられた簡易衣装を装着してもらい,胸部の伸展から検出される呼吸曲線に合わせてデバイスを上下させている.映像を呼吸曲線の高さとデバイスの傾きをそれぞれ視点位置,視線方向としているため,その変化によって体験者は波に乗っている感覚を得ることが出来る.また,呼吸曲線の傾きの符号により呼気,吸気を判断し,呼吸に合わせた波の音の出力を行っている.さらに,吸っている間だけ扇風機を動かすことでそよ風を演出している.呼吸を吐いている間は扇風機は停止する.デバイスは体験者がリラックス出来るように座った状態で体験してもらい,呼吸のタイミングとその大きさを検知して動作させている.デバイスには角度センサを装備し,映像と同期させている.プロジェクタの投影部には偏光フィルタを付け両眼視差による立体視が可能である.
このように映像,音声,風,波乗りデバイスを呼吸同期させることによって自分の呼吸を様々な形で感じることが出来るように工夫されている.呼吸による変化を楽しみながら波に揺られ,海と共に時間の流れを感じ,癒しを体験してもらう.
[ 岐阜本大会映像 ]