六十六寸堂(2003)

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色即是空 / 電気通信大学

[作品概要]

本作品は体験者が弓矢を使って的を撃つという単純なものである.しかし,用いる矢が実空間での「光の矢」であるところに大きな特徴がある.弓型コントローラの
「YOICHI」はバーチャル空間ではなく実空間に「光の矢」を作り出す.体験者はこの「YOICHI」を用いて,光の矢で的となる風船を射る.そして的に命中すると風船が割れるような仕組みになっている.
この「YOICHI」はレーザーポインタを内蔵した空気砲である.空気砲内部にあるスモーク貯蔵部にスモーク供給管を通してスモークを一定量充填する.その後,体験者が通常の弓同様に矢羽根部を後方に引き,離すと,空気砲によって作られる直進性の高い空気の渦輪,光を散乱するスモークとレーザーポインタからの指向性のレーザー
光が組み合わさることにより,肉眼で観察可能な光の矢が発射される.この時,矢羽根部が内部の可動板とそのゴムに繋がっているので体験者はリアルな弓を引く感覚を得ることが出来る.光の矢と的の当たり判定は,「YOICHI」から噴出される空気の塊である渦輪が,的部に設置されているセンサで感知するか,しないかで判断している.
光の矢の飛距離は渦輪の飛距離とほぼ同じであり,その渦輪の飛距離は空気砲の大きさとだいたい比例するため,実際に手に持てる大きさでデバイスを作成するために様々な工夫がなされている.渦輪を空気砲から打ち出す方法も数種類ある中から,弓を引いて撃つという動作内で渦輪を発生させるために,空気砲を構成する立方体の一面はゴム膜で作られている.そしてそのゴム膜を叩くことによって渦輪を打ち出す方法が採用されている.

[ 岐阜本大会映像 ]