2005年6月11日,東京大学工学部一号館15号教室にて,IVRC2005 団体部門の第2次審査 プレゼンテーション審査が開催された.
4月29日から5月18日までの企画募集期間に,昨年の33作品を上回る47作品の募集があり,そのうち25作品が本年度のプレゼンテーション審査に進出することとなった.プレゼンテーション審査当日は,昨年のファイナリストの電気通信大学,東京工業大学,北陸先端科学技術大学院大学に加え,奈良先端科学技術大学院大学,筑波大学,岐阜大学,京都大学,富山大学,千葉工業大学,多摩大学,芝浦工業大学,大阪工業大学,立命館大学,東京大学,中京大学と,15校24作品(1作品辞退)が顔を揃え,緊張と興奮のプレゼンテーション審査の幕開けとなった.
プレゼンテーション審査には,審査委員会より委員長岩田洋夫(筑波大学),副委員長武田博直(株式会社セガ),大倉典子(芝浦工業大学),草原真知子(早稲田大学),串山久美子(株式会社グロース),福本雅朗(NTTドコモ マルチメディア研究所),星野准一(筑波大学),守屋健弘(NTT コミュニケーション科学基礎研究所),山田林太郎(株式会社フロム・ソフトウェア)が出席し,審査を行った.それぞれ,バーチャルリアリティ研究分野の著名人やアーティスト,ゲーム会社といった,新しいデバイスや人に楽しみや面白さというものを提供する分野で一目おかれているそうそうたる面々である.審査委員長の岩田からは,年々進化しているIVRC作品の技術についてや,SIGGRAPHにIVRC2004の作品が3作品も採択され,世界でも日本の学生の技術が認められている素晴らしさについてなどの開会挨拶があった. また,新司会にはIVRC1995・1996に出場した杉原有紀(東北芸術工科大学)とIVRC2000に出場した井村政孝(奈良先端科学技術大学院大学)を迎え,進化しているIVRCの新しい波を感じさせた.
審査が開始すると,会場の緊張感はより一層高まった.初めてのプレゼンテーションという学生や発表原稿を必死に見入る学生など,今日この審査に懸ける気迫が伝わってきた. しかしそれに対して,今年のプレゼンテーション審査は,質も技術もパフォーマンスにも富んだものであり,例年よりさらにレベルの上がった審査となった.トップバッターの作品が映画の宣伝用のようなムービーでプレゼンテーションを開始したかと思えば,マイクを用いずで自慢の大声で説明を行う熱血漢が熱弁を振るう作品紹介や,聴診器を首にぶら下げ,医師のコスチュームに身を包み笑いを誘った作品もあった. 中でも,プレゼンテーション審査を1位で通過した,奈良先端科学技術大学院大学のチーム「Team Shadow」の『INVISIBLE〜影を追う者〜』のプレゼンテーションでは,CGを用いた体験映像による作品の詳細説明と新しい考案デバイスの仕組みが審査員の関心を引きつけた. 多くの作品は審査員からの厳しい質問などに対する事前準備もされてきており,わずか3分(90秒プレゼンテーション+90秒質疑応答)という短いプレゼンテーションにも関わらずクオリティの高い発表であり,学生たちのコンテストに臨む熱心な姿勢に心打たれた.また,会場の外においてプレゼンテーションの練習をする学生や,慣れない90秒のプレゼンテーションで焦る学生もおり,会場にいた参加者やスタッフにも緊張が伝わる,新鮮な審査でもあった.
以上の10作品が,2005年8月25・26日に東京 お台場 日本科学未来館で行われる,the 3rdステージ 東京予選大会に参加する.次回は展示・体験可能な状態での実機での参戦となるため,これからの製作に期待したい.(文責・加護谷(広報))