■IVRC 2001 A.手作りVR部門 テーマ解説

「開放感」


 10年前、バーチャルリアリティーと言えば、コンピュータの中の世界にどっぷり入り込むために研究室やテーマパークに設置された巨大な装置に潜り込んで、現実世界ではできない体験をするものでした。

 今、そのできないはずの体験が日常の生活空間へ解き放たれつつあります。VR技術を現実世界をよりよくするために用いる Augumented Reality;コンピュータを着てしまうことでコンピュータの中にいながら自由に生活が可能なウェアラブルコンピュータ;コンピュータを生活空間の隅々にまで配備し、どこにいてもコンピュータの中にいられるユービキタスコンピューティング;などが現実のものとなり、バーチャルリアリティー世界が研究室の中から日常の生活空間の中に広がり始めています。

 例えば、カメラ付携帯電話は臨場感通信につながりますし、PHSの位置情報から人々の活動を俯瞰することもできます。カーナビゲーションシステムは自車とその周辺地域を自由な視点から観察することを実現しています。

 一方研究室の中のバーチャルリアリティー空間も、単色で塗りつぶされたポリゴンだけの閉鎖的なCG空間から、豊かな情報を持った広がりのある開放的な空間に変わりました。IMAXやCAVEなどの大画面で、広々とした豊かな情報を提示すれば、閉鎖的な空間の中にいても開放感を実感できるということもあるのです。

 そこで今回のIVRCでは「開放感」をテーマに選んでみました。「開放」にはあけはなすこと、自由にすること、などの意味があります。また「かいほう」には「解放」という字を当てることもできます。こちらには束縛を取り除いて自由な行動が出来るようにすること、という意味があります。今回のテーマにはその両方の意味が込められています。 とはいってもテーマの解釈はいろいろです。誰もが気楽に参加し体験できる「開放的な」作品を構築するのも良いでしょう。広々とした「開放的な」空間を提示するという手もあります。もちろん展示スペースは限定されている訳ですから小さな限られたスペースの中で如何に開放感を出すかが腕の見せ所。HMDを使えば簡単じゃないか、という声が聞こえてきそうですが、ごちゃごちゃと装着するのではかえって開放感から遠ざかってしまうということもあります(HMDの使用を禁止する訳ではありませんが・・・)。提示の仕方をいろいろ工夫してみて下さい。

 企画書には提案の作品のどこがどのようにテーマに関わってくるのかを簡単にお書き下さい。 テーマに沿っているかは、第一次審査における審査対象項目の一つとなります。ただし審査の内容はテーマに沿っているかどうかがすべてではありません。発想の面白さ、企画の新規性、実現性、芸術性、研究的興味などを総合的に踏まえて審査を行います。テーマは企画を出す上での発想の起点として考えていただいて結構です。

 また、最終審査においては限られた体験時間だけで作品を評価することになります。説明ではなく体験で作品を理解させるような、分りやすく面白い作品を作ってください。

 素晴らしい企画のご応募をお待ちしております。




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